難民認定問題を考える_難民審査参与員制度とは

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コラム

2023/02/26 難民認定問題を考える_難民審査参与員制度とは

今日は難民認定問題を考えてみましょう!

最近の新聞報道によると、入管法の改正案が3月にも閣議決定され、国会に上程される予定とのこと。2年ほどまえに廃案になった法案の焼き直しのようですが、難民申請を3回以上繰り返した者を強制送還が可能となるような法改正のようです。

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日本では、難民の定義を厳格に解釈し、それ以外を廃除しているように感じます。

 

入管法では、難民条約又は議定書の規定により難民の定義が謳われています。

条約難民の定義は、要約すると、「人種、宗教、国籍、特定の社会的集団の構成員、政治的意見を理由として、迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有する場合」に難民と認定されます。この迫害を受けるおそれがある十分な客観的な理由は、申請者が提出する資料により証明しなければなりません。そして入管は、当事国からも客観的な情報を入手し、信ぴょう性があるかどうかを確認します。それらの証拠から難民該当性があるかどうかを判断します。

令和3年における難民認定者に関するデータは、以下のサイトから確認できます。

https://www.moj.go.jp/isa/publications/press/07_00027.html

 

それによると、令和3年の難民認定申請者数は、2,413人と、ピークであった平成29年の19,629人から大幅に減少し、主な国籍は、ミャンマー、トルコ、カンボジア、スリランカ、パキスタンで、全体の約75%を占めています。

この2413人の内、過去に難民申請をしたことがある者は約52%の1248人となっており、複数回申請が常態化している状況が見て取れます。

このうち、難民の可能性が高い案件は、39件しかなく、難民該当性がないと判断される者が33件、正当な理由なく再申請している者は1196件となっています。

 

また、審査請求では、令和3年は、昨年より1473人増加し、4046人で、主な国籍は、スリランカ、カンボジア、ネパール、パキスタン、バングラデッシュで、全体の約86%を占めています。

 

令和3年の難民認定申請の処理数は、6150人で、難民認定者は、65人、不認定者は、4196人、申請取り下げ者は、1889人となっています。このデータから見ると認定率は、約1%となります。つまり、100人に1人しか認められていないということです。また、審査には、平均32ヶ月(2年8ヶ月)かかっています。

 

全体で見ると、難民認定者65人、不服申し立てで認められた者9人、人道的配慮で在留が認められて者が580人、全体で、654人が難民認定審査で在留が認められています。

 

さて、難民申請で認定されなかった場合は、審査請求する訳ですが、その審査の過程で、難民審査参与員が審査して法務大臣に意見を述べることになっています。

その概要は、以下の通りです。

難民認定参与員制度について難民認定参与員制度について

 

難民審査参与員は、法務大臣が指名する有識者で、大学教授や弁護士などがなっています。3名氏名され、法務大臣は、この難民審査参与員の意見を聴いて裁決をすることになっています。

但し、実情としては、難民審査参与員が「難民認定すべき」と意見を具申しても、法務大臣の裁決はほとんど不認定となるようです。この制度は、あまり機能していないと批判されても仕方がないでしょう。

 

今後、入管側の裁量権を分散し、第3者の審査機関を設けるなとの改革が必要ではないでしょうか?

 

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